山に積もる雪
関東地方の平野部では雪がふることは少なく、ましてや積雪となると数えるくらいしかありません。
それだけにいざ積雪すると交通機能がマヒするなど社会的な混乱が生じる可能性が高くなります。
さて、ところ変わって標高3000m近い穂高連峰では例年数メートルの積雪は当たり前。
何年か前に登山口にある小さな小屋を登るたびに撮影してどのように雪が増えていくか観察したことがありました。
それではその経過をご覧ください。

11月22日時点の積雪です。
まだまだシーズンが始まったばかりですので積雪も多くはありません。ただし例年の11月にしては積雪が多いほうかと思います。

12月15日です。
少し積雪が増えたでしょうか。トレースも深くなっていて順調な滑り出しになっています。この日は天気も良く綺麗な稜線を見ることができました。

12月29日です。
前回と比べると若干ではありますが確実に積雪が増しています。
年末年始は総じて天候に恵まれず、翌朝30日が唯一天気が良く青い空をを眺めることができました。風は立っていられないほど強かったのですが。

1月12日です。
だいぶ積雪量が増え、あともう少しで屋根と地面が繋がりようになっています。
この時も気象条件や雪質に恵まれず、独標手前10mで涙の撤退をしました。

2月23日です。
1月末と2月中旬も予定していたのですが天候が悪く登山口へのアプローチが困難であったため両方ともキャンセルとなりました。
なので、次に来たときは一気に積雪が増えており小屋は完全に雪に埋まってしまいました。
こうやって定点で見ると積雪量の変化というのがとてもよく分かります。
今回は積雪量の変化に注目しましたが、定点から眺める気象の変化を追ってもいいかもしれません。快晴の時とホワイトアウト寸前の時では場所が違うのではないかと思うほど様子が違うものです。
機会があったら自分なりの場所で比較して見てください。
と言ってもこんなに頻繁に冬山にくる人もあまりいないとは思いますが・・・
ところで、新潟など日本海側の豪雪地帯は地球の緯度で言えば北緯40°付近になります。世界的に見てこの緯度で豪雪地帯になるのは大変珍しいことです。
これは冬の時期、大陸からの冷たくて乾燥した季節風が、海流の関係で相対的に温かい日本海の海上を吹き抜けてくるわけですが、いわば露天風呂のような状態になり相対的にあたたかな海面から大量の水蒸気が放出されるため冷たくて乾燥した空気が湿った空気になりそれが雪雲になって次々に日本海側に到達するわけです。
大陸(モンゴル付近)の気温が非常に低くなると空気が冷やされて重たくなり気圧の高い高気圧が発生します。するとその2日後くらいには、季節風として日本海側に到達し、寒気が強ければ大雪になる恐れが大きくなります。